事例11

扇形+直線水路魚道を併設した事例

直線水路と扇状の魚道を併設して魚類の迷入しないような工夫、流量変動や多様な魚種が上れるような工夫、魚たちが鳥類の餌食にならないような工夫等、様々な工夫が施されています。

● 施工前

● 施工直後

● 施工約5年後

● 施工約8年後

事例12

ハイダムの折返し魚道の事例

使用ブロック右斜視図

水路と隔壁と粗柱のブロックを組み立てた製品です。流量変動に対応するために隔壁頂部の高さを変えたり、左右の粗柱形状を変えたりすることで、色々な流れを魚道内に創出しています。魚類は、その色々な流れを選択しながら上っているようです。

※参考文献
柏井条介他:アイスハーバー型魚道の水理及び遡上実験、第51回建設省技術研究会報告、1997

● 魚道全景(高低差約20mのダムに設置された事例)

魚道にカワセミやサギ、遡上する魚類も確認

事例13

下流側への突出魚道の事例

下流に突出した魚道構造ですが、入り口部(下流側)は澪筋に設置され、魚類が迷入しないように配慮した配置となっています。遡上調査も実施され、遡上しやすい魚道内流況になっています。また、魚道の水際部の植生帯(カバー効果:陰影)も連続・発達しはじめています。この植生カバーにより、魚類以外の水生生物(甲殻類や水生昆虫、哺乳類?)が水際を移動できる施設になりつつあります。

● 施工直後

● 施工後

魚道全景:瑞流を部分魚道に用いた事例

魚道入口部(下流)を澪筋に配置

魚道下流側の河川状況

魚道内の状況:水際植生と流水の連続性を確保

事例14

農業用取水堰に取付けられた全断面魚道の事例

● 魚道設置前の状況

改修前(魚道なし)は、堰上流へ移動できない魚類が見られました。

● 魚道設置後の状況

流量変動が大きく、澪筋の移動や河床低下が懸念される現場であることから、屈とう性構造の全断面魚道でブロックが採用されました。

瑞流の静穏域で休憩するアユらしき魚影

● 魚道設置後約12年の状況

澪筋が中央から左岸側へ移動し、左岸側の瑞流や中央のリーフロックにより、魚類の移動経路が確保されていました。

事例15

河床低下の懸念がある現場で多様な魚種に配慮した事例

流量変動に対応して、色々な生物がが移動できるように、横断中央部を低くした低水路構造としています。
施工後、底生魚や遊泳魚等のほか、水際域で甲虫類・クモ類も確認されました。ブロック目地等からの植生により、景観に調和しはじめています。

● 改修前

● 改修後

直壁落差工から緩傾斜落差工へ

2年半経過 ブロック目地に植生

魚道内の流況

ブロック表面を移動するクモ類

現場周辺で確認された魚類

事例16

取水口付近に設置した魚道工の事例

河川から効率よく取水する場合、ダムや堰の様に完全に流水を溜め込む横断工作物が一般的です。本現場では、水生生物の河川上下流への移動に配慮して、河川水を完全に堰き止めずに張出し構造にした取水施設の事例です。この様な、人と川の生き物との共生を考えた構造物が、既に昭和30年頃の書籍に「魚道式土石調整施設」として紹介されています。

図~238 魚道式土石調整施設
出典:新河川工法 森北出版 S31 橋本規明著

水制工の様な構造物の隙間を魚が行き来していました。
※上記出版物発行の頃に構築されたもの?(近隣のコンクリート橋劣化から推測)

事例17

澪筋や水際植生を考慮して設置された事例

魚道設置にあたっては、水際植生や砂州・澪筋等を考慮しました。落差工の下流護床工には小さな落差が生じていたため、簡易的に捨石でのスロープにより、移動経路を確保しています。また、水位変動に対応して魚道機能が発揮されるよう魚道ブロックをV字状に配列しています(右岸側壁沿いに流速の遅いエリアが形成されています)。

● 施工前:落差工と下流部の段差で遡上できない状況

● 施工後:落差工本体には魚道を設置し、下流段差部には捨石をスロープ状にして、魚類の遡上に配慮した状況

事例18

上下流の水際域に配慮して設置された事例

魚道設置にあたっては、水際植生や砂州・澪筋等を考慮し、魚道の越流部、非越流部の幅を設定しました。上流域の土砂が魚道内に堆積して、上流域のステップ&プールの河床構造・流況形成になりつつあります。

施工直後 上流より全影

施工約2年後 全影

施工約2年後 プール内の状況
適度な土砂・礫の堆積や植生が魚類の隠れ家を創出

越流部の中央(擬岩部溝)をのぼる小魚

事例19

砂防堰堤の水通し部を避けて設置した事例

転石や流木による魚道施設の破損を軽減・回避するために、堰堤側壁護岸の背面に設置した事例です。設置して3年程経過し、水叩き部に設置された鋼製スリットには、流木が山のようにトラップされていましたが、魚道施設(ブロック)の破損は確認されませんでした。魚道内には安定した流況が創出されていました。

砂防堰堤下流側より全景

副堤下流より設置後約3年経過後の状況

本堤下流の鋼製スリットに流木がトラップされた状況

本堤右岸上流側より下流全景

事例20

多様な魚種に配慮した事例

魚類や甲殻類等、多様な水生生物に配慮して、ステップールとリップラップを並列させた魚道です。
また、河畔林の保全、魚類の迷入防止用の置石、魚道下流部の淵の創出(鳥等からの捕食圧軽減対策)等、工夫が施されています。また、現地には、地元小学生が“サケの遡上してくる川”に戻って欲しい思いを詠んだ俳句の看板がありました。

施工前の状況

施工直後の状況

施工後の状況

魚道内の流況

地元小学生の俳句入りの看板

魚道帯工を移動する甲殻類

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