事例21

流量変動を考慮した床固工魚道の事例

アユ・ヤマメ等の遊泳魚に配慮して、設置されたプールタイプ(ステップール)の魚道です。既設の魚道は、出入り口共に土砂の堆積により魚道内に全く水が流れない状態でした。また、護床工下流部は、不陸や落差が生じて魚類が移動困難な状況となっていました。
そこでこの現場では、現地の水位変動・流況を考慮して、魚道の幅を決定し、落差工下流部には水褥池が設けられ、治水・環境の両面に配慮した構造となっています。また、流水の連続性を確保するだけでなく、水生生物にとって重要な水際の植生カバーも連続して創出されています(左岸寄り)。

施工前(中央部魚道は閉塞:機能不全)

施工中

施工直後(流量の少ない時の流況)

施工後約3年(流量の多い時の流況)

施工後約10年

事例22

暗渠による生物の移動経路に配慮した事例

施工約6年が経過した大暗渠砂防堰堤で、5つの門によって火山の噴火に伴う火砕流・泥流を抑制する施設です。この堰堤の表面には、現地の石材を貼り付けた当社の亀甲型ブロックが用いられています。経年変化により、周囲の景観に溶け込んでいます。また、大暗渠によって、魚類だけでなく、哺乳類の移動も確認されました。当社は2009年度土木学会デザイン賞における奨励賞を受賞(製造担当として)しました。

● 施工中の状況

● 施工後の状況

事例23

多様な魚種に配慮した事例

多様な魚種に配慮するため、異なる2タイプの魚道ブロックを設置した事例です。粗石付斜路型魚道では底生魚や遊泳力の弱い魚種、もう1つのアイスハーバー型魚道では遊泳力のある魚種を対象としています。この魚道施設では、毎年多くのアユの遡上が確認されています(平成16年稚アユの推定遡上量2300万尾程度以上)。現場視察時には、プール内で自由に泳ぎまわるヨシノボリ類やコンクリート表面に付着する藻類を食(は)むオイカワ、遡上するウグイ等を確認できました。

大小様々な流速場を創出するための形状(①)や、流況を安定させる形状(②)となっています。

事例24

魚道内に隠れ場として魚巣ブロックを設置した事例

砂防堰堤の長い魚道施設には、遡上せずに取り残されている魚を確認しています。これらの魚たちを外敵(鳥・哺乳類等)から身を守るための魚巣ブロックを魚道内に設置しました。

砂防堰堤魚道の折返しプールに設置された魚巣ブロック

渓流魚が冬期利用している状況

事例25

魚類の遡上や工事期間の環境に配慮した事例

魚道幅約8mある施設の隔壁の頂部をプレキャスト化した事例です。工期短縮によって周辺環境への工事による影響期間を少なくしました。
また、既往魚道の隔壁頂部は矩形で越流水脈が剥離しており魚がのぼりにくい流れとなっていました。そこで、魚にとってのぼりやすい流れとなるように隔壁頂部をR型の形状としました。

アイスハーバータイプ組立図

左:施工前の状況 全越流タイプ
中央:隔壁部の改良状況 冬期の施工状況
右:施工後の状況(3連)・アイスハーバータイプ・全越流タイプ・せせらぎ魚道タイプ

事例26

床止め工に取り付けられた全断面魚道の事例

河川全幅約20mの直壁落差工を緩傾斜落差工として改修した事例です。緩傾斜部には、階段式魚道ブロック(ステップール)を使用した事例です。設置前は水面落差が2m程あり、魚類の移動が困難でした。改修にあっては、流量変動に対応できるように横断形状を工夫し、流れが安定して魚がのぼりやすいように隔壁頂部をR型形状としました。

● 施工前の状況

● 施工直後の状況

● 施工約7年後:雪解け出水時の流況(河岸に流速の遅いエリアが創出)

事例27

河床材料の移動がある現場で全断面魚道として自然石を用いた事例

施工直後の状況

施工数年後の状況

● 施工十数年後の状況

横断方向のV字構造で、小流量時にも魚類の移動経路となる水深を確保

● 近隣の魚道観察室

観察窓からウグイ?の遡上確認

事例28

本川と支川の段差(本川の河床低下等)に全断面魚道を設置した事例

施工前の状況

施工後の状況

事例29

老朽化した取水堰の改修に取り付けられた全断面魚道の事例

河川幅約10mの取水堰を緩傾斜落差工として改修した事例です。緩傾斜部には、階段式魚道ブロック(ステップール)が用いられています。
改修にあっては、流量変動に対応できるように横断形状を工夫(中央部を低く)するとともに、流れが安定して魚がのぼりやすいように隔壁頂部をR形状としています。

● 施工前の状況

● 施工直後の状況

● 施工約5年

事例30

部分魚道を全断面魚道に改修した事例

既設の魚道は、出口部(上流側)や魚道内に土砂が堆積して殆ど水が流れない状態でした。また、入口部(下流側)は、水深が浅かったり、落差が生じていたりと、魚類の移動が困難な状況でした。 そこで、現地の水量や澪筋を考慮して魚道内の流水の水面幅を決定したり、下流部に水褥池を設けたり、水際部に流速の遅いエリアが形成される構造にしたり、現場状況に応じた工夫をしています。

● 施工前:部分魚道機能不全(破損・閉塞等)

● 改修直後

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